世界を旅して渉猟した
貴重写真とエピソード

発 売 に 寄 せ て

「クロノス日本版」 編集長
広田雅将
時計の面白さは、何を買った以上に、どのように付き合っていくかにある。数千万円の高級時計を買った人よりも、数千円のクォーツ時計を大事にしている人のほうが、興味深かったりする理由だ。本書では、著名な時計好きたちが、どんな時計を買い、どう付き合ってきたかを開陳している。それぞれの時計からのぞく持ち主たちのパーソナリティは、ありきたりのインタビューでは決してうかがえないものだ。掲載されている時計は実に様々。高い時計だけと思いきや、決してそうでないのが、時計趣味の奥深さを示している。時計好きならば手にすべき好著。装丁も優れており、書棚に飾ってもサマになる。
Profile      
時計専門誌『クロノス日本版』編集長。サラリーマンを経て2004年からフリーライター。2016年から現職。一般誌などにも寄稿多数。共著に『ジャパン・メイド・トゥールビヨン』(日刊工業新聞)、『時間の日本史』(小学館)がある。
CASIO G-SHOCK開発者
伊部菊雄
数年前の北米出張中に取材を受けました。帰国後、暫くしてから「A MAN & HIS WATCH」というとても立派な本が1冊届き、中を拝見して初めて、本に取り上げていただいたことをとても光栄に思いました。同時に皆さんに、時計にまつわる素敵なドラマがあることを知ることができました。
今回、日本語版が発売されることになりとてもうれしく思います。皆さまと時計との素敵なドラマが始まることを祈っています。
Profile     
1976年にカシオ計算機に入社。1981年からG-SHOCKの開発をスタート、落としても壊れない構造の開発を続け、1983年に初代G-SHOCKを世に送り出した。現在はG-SHOCKの生みの親として、世界各国でのG講演を通じてのファンづくりや国内の小学校にて発明のワークショップなどを行っている。
NAOYA HIDA & CO.
代表取締役 飛田直哉
ヴィンテージ・ウォッチに興味を持ってオークションのカタログを眺めていると時折、歴史上の著名人が所有した時計が出品されていることがあります。私は、その時計の写真や仕様を見ながら、この人はどうやってこの時計を選んだのだろうとか、誰が時計をこの人に贈ったのだろうとかを考えるのが好きです。時計は個人の持ち物の中では、最初の所有者が亡くなった後も大事に保存される確率が高く、かつ何を選んだのかを知ることで人となりを想像することができるような気がしていたからです。なので、この本を見たとき、まさに自分の嗜好が反映された内容であったことに嬉しい驚きを覚えました。登場する人々や時計のセレクションの幅が広いことも印象的です。尊敬してやまない友人のマーク・チョーや、一度だけお目にかかって話したことのあるラルフ・ローレン、最も好きな映画俳優の一人フレッド・アステア、そして名前も知らなかった人たちまでさまざまな人たちや時計が網羅されています。こうして人と時計を結び付けてみることで、より所有者の人となりを知ることができるような気がします。もちろん、時計の資料としても第一級で、私にとって初見の時計が数多く収められていることもこの本の価値を高めていると思います。
Profile      
1990年より複数の外資系専門商社においてセールスやマーケティングを担当。F.P.ジュルヌやラルフ ローレン ウォッチの日本法人の代表を務め2018年にNH WATCHを設立。高額時計の豊富な販売経験を基にした販売員対象のトレーナーとしても活躍している。
「腕時計のある人生」YouTube
ブログ運営 時計コラム執筆
RY
時計とは、言ってしまえば単に時を計測する道具に過ぎない。そんな時計に私が夢中になる理由は、そこに幾つもの物語が存在するからである。本書は時計の物語性に焦点を置いた、世界でも珍しい“コーヒーテーブルブック”だ。手に取るとその佇まいに心奪われる。シックで上質な紙のカバーから本書を取り出すと、かの有名なポール・ニューマンのロレックス・デイトナが顔を覗かせる。裏表紙には「Drive slowly」と、彼の奥様からのメッセージ。どんな物語たちが詰まっているのか、ワクワクが止まらない。ページをめくるたびに登場するのは、傷だらけの時計たち。所有者の写真は本文には一切登場しない。時計と数々の傷が彼らのことを教えてくれる。添えられているのは、彼らと時計の物語。運命の時計と出会った瞬間のこと、愛する家族から受け継いだ時計の話、時計を見るたびに思い出すあのひととき…。
本書を読み終えたころにはある種のノスタルジーと充足感で心が一杯になった。読んで良し、眺めて良し、飾って良しの三拍子が揃う本は滅多にないが、本書はそのど真ん中をいく作品だ。
Profile      
船長という本業で世界を回る傍ら、初めての機械式時計購入から腕時計の虜に。2018年、有名高級時計雑誌にて「時計の評論/コメント大賞」受賞。2019年、ブログ「腕時計のある人生」開設。2020年、YouTube「腕時計のある人生」開設。個人の時計専門チャンネルとして日本一の登録者数を誇る。現在、各出版社から時計コラムの執筆活動も手がける。
ワンミニッツギャラリー
代表取締役 山下千佳久
メーカーにはそれぞれヒストリーがある。また、使用者にもその時計と出会ってから時計と歩んだヒストリーがある。時計と云うものはメーカーヒストリーに使う人のヒストリーを重ね合わせた“唯一無二”の想いを生む。 装身具でもある時計は当然暮らしの中で使用傷や経年変化が発生する。それはその人の歩んだ道のりのアーカイブとなる。明らかに新品の時計にない変化が時計の慈しむべき味わいである。この本は正にその集大成と思う。
Profile      
広島の老舗時計店、山下時計店が1989年に原宿店ワンミニッツギャラリーを設立。時計店が故のオリジナリティーを大切にしている。
●ワンミニッツギャラリー
11:00~19:00(現在は時短営業のため~18:00)
東京都渋谷区神宮前3-25-15神宮前テラス1F
03-3478-2874
超・希少!物語を紡ぐ絶品たち
男たちの人生の時を刻んだ時計の数々


実物大以上の時計写真をおさめた
豪華大型ビジュアルブックを、マニア、コレクター、
時計好き、の方だけにお届けします。

世界を旅して集めた、超・希少価値の時計と
男たちのエピソード。
トップスター、大統領、レーサー、
デザイナー、エンジニア、
彫刻家、ライター、写真家、シェフ、
冒険家、コレクター ...



世界にひとつだけ
時計に刻まれた、独自の過去が溢れ出す



その一部を紹介してみよう。

ポール・ニューマンが妻から贈られた
ロレックス・デイトナは、今末娘が持ち、
オークションに出せば数百万ドルになろうという。

冒険家チチェスターの
ロレックス・オイスター・パーペチュアル。

ドライバー用に文字盤が斜めのヴァシュロン・
コンスタンタン・ヒストリーク・アメリカン1921。

アラン・ドロンがつけたカルティエの
小ぶりのドレスウォッチ。

フレッド・アステアが贈った
カルティエ・タンク・サントレ。

シルヴェスター・スタローンの、
グレッグ・オールマンのと同じ
ティファニーのゴールド ロレックス・サブマリーナー。

時計コレクター、アンディ・ウォーホルの
パテック・フィリップ。

大統領ケネディが就任宣誓したときの
イエローゴールドのオメガ。

レーサーのマリオ・アンドレッティが
1967年のインディ500で
贈られたホイヤーのオータヴィア、
デイトナ24時間のロレックス。

スティーブ・マックイーンが
映画『栄光のル・マン』でつけた
ホイヤーのモナコ、などなど。

これはほんの一部。


YouTube「腕時計のある人生」による
紹介動画
special thanks to RY

Crown & Caliber による
紹介動画

「訳者あとがき」から

本書は写真家であり、男性向けライフスタイル雑誌の編集者を務めるマット・フラネックによる『A Man & His Watch』の全訳である。自身も熱心な時計コレクターである著者は、この本を書くにあたって世界中を旅してまわり、多くの時計愛好家たちに直接インタビューしたという。メディアへの露出も多い彼のインタビュー映像を見ると、あるときはスタイリッシュなスーツに身を包み、またあるときは野球帽とハーフパンツのラフな格好で、常に微笑みを浮かべて熱心に人と語り合っている。


紹介されている腕時計の中には、天文学的な金銭価値を持つものもある。2020年末に開催されたフィリップスのオークションで、ポール・ニューマン愛用のロレックスが547万5000ドルで、スティーブ・マックイーンが映画の中で着用したタグ・ホイヤーの“モナコ”が220万8000ドルで落札されたという。もちろん、時計そのものに価値があるだけでなく、使っていた人物とエピソードが、人々を惹きつけてやまないからだ。そしてこのことは、やはり本書で取り上げられ、金銭的な価値はほとんどないように見える時計にも共通している。長いこと砂浜に埋まっていたために、錆びて動かなくなったロレックス、子供の頃に雑誌を見て憧れ、それを切り抜いて作った紙細工の時計。こうした時計の物語と写真も、ダイヤモンドがはめ込まれた豪奢な時計のそれと同じくらい美しく、心に響くたたずまいを見せる。それは、持ち主が時計に寄せる愛情と憧憬と情熱が表れているからにほかならない。

著者について

Matt Hranek
マット・フラネック
メンズライフスタイル誌『WMBrown』の創始者・編集者。フルタイムの旅人、探検家、食と酒の探究者であり、パートタイムの写真家、映画監督、ブロガーでもあるという多彩な顔を持つ。ニューヨーク市ブルックリン在住。他の著書に『The Negroni』、『A Man & His Car』がある。インスタグラム・アカウント@wmbrownproject
男と時計の物語
価格:本体9,680円(税込)
著者:マット・フラネック 
訳者:下田明子